FOR PATIENT

患者さんへ

患者さんへ
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手術部(手術麻酔)

富山大学附属病院では、22名の麻酔科医が365日24時間体制で手術麻酔を担当しています。手術中、麻酔科医は鎮痛薬や鎮静薬を使用して、痛みや不安を和らげます。また、筋弛緩薬を使用して体の動きを抑え、手術が安全に進むようサポートします。
麻酔科医は手術中も患者さんの状態を常にモニタリングし、必要に応じて適切な調整を行います。
患者さんが安心して手術を受けられるよう、専門的な麻酔管理を行います。
実績
症例 2021年度 2022年度 2023年度
麻酔科管理症例総数 4707 4751 4722
全身麻酔 4483 4542 4501
区域麻酔(脊髄くも膜下麻酔など) 190 187 173
鎮静麻酔 34 18 35
心臓血管外科・成人 282 301 285
心臓血管外科・小児 95 107 104
循環器内科(小児循環器含む) 181 184 169
呼吸器外科 194 187 202
脳神経外科 333 368 327
産婦人科 453 427 440
消化器外科 906 821 820
泌尿器科 372 382 339
形成外科 187 274 291
整形外科 642 628 670
皮膚科 39 32 44
眼科 230 222 225
歯科口腔外科 305 308 293
耳鼻咽喉科 274 296 316
消化器内科 22 32 21
ペインクリニックインターベンション 3 0 3
経皮的大動脈弁置換術 65 57 82
左室補助人工心臓植え込み術 1 3 4
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集中治療部(ICU)

集中治療室(ICU)は、重篤な病状や外傷、手術後の患者を集学的に管理・治療するための部門です。高度な医療機器を備え、意識状態や循環動態、呼吸状態などを24時間監視しています。
また、専門的な知識を有した医師が常駐しており、急変時にも迅速な対応が可能です。当院のICUは10床あり、心臓血管外科、小児心臓血管外科、腹部外科、小児科を中心に年間約1000名の患者を受け入れています。
03

ペインクリニック(外来)

鎮痛薬や神経ブロックに関する知識・技術を活かして、ペインクリニック外来での診療を行っています。また富山大学附属病院は、北陸唯一の集学的痛みセンターとして多職種・多診療科で診療を行なっており、ペインクリニック外来はその中心を担っています。
慢性の痛みや難治性の痛みに対し、薬物療法や認知行動療法に加え、インターベンショナル治療(神経ブロック、カテーテル治療、脊髄刺激療法など)を積極的に行なっています。
外来日と担当医
曜日 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
ペインクリニック
一般外来(AM)
青木、吉田、
杉本
高澤、竹村、
清水
ペインクリニック
一般外来(PM)
(再診のみ)
堀川
ペインクリニック
専門外来(PM)
(透視下神経
ブロック)
伊東、吉田、
杉本
術前診察(AM) 担当医師
(交代制)
担当医師
(交代制)
担当医師
(交代制)
担当医師
(交代制)
担当医師
(交代制)
ペインクリニックQ&A
Q.
ペインクリニックとは何でしょうか?
A.
アメリカの麻酔科医であるRovenstineによって名付けられたペインクリニックは、慢性の痛みや難治性の痛みの治療を主体とする診療です。痛みの治療を行うことで、ADL(日常生活動作)の改善や睡眠の質の改善、リハビリ中の患者様はリハビリの促進が期待できます。
Q.
具体的にはどのような治療を行いますか
A.
治療手段としては、薬物療法や認知行動療法に加え、インターベンショナル治療(神経ブロック、カテーテル治療、脊髄刺激療法など)を積極的に行なっています。神経ブロックには、従来の薬剤によるブロックだけでなく、長期的な治療効果が期待できる高周波熱凝固法やパルス高周波法も行なっています。詳しくはインターベンショナル治療の項をご参照ください。
また、集学的痛みセンターとして他診療科と合同で診療を行うことがあります。
Q.
ペインクリニックではどのような痛みが治療の対象となりますか
A.
(3ヶ月以上続く)慢性疼痛や従来の薬物療法で改善しない難治性の痛みを対象としています。
対象部位は全身で、頭(片頭痛、緊張性頭痛、群発頭痛など)、顔面(三叉神経痛、特発性顔面痛など)、脊椎(頚椎症、腰椎症やそれに伴う神経根症など)、四肢の関節など様々です。また、帯状疱疹後神経痛、痛覚変調性疼痛、癌性疼痛など性状の異なる痛みに対しても治療を行っています。
急性痛であっても、原疾患の治療と並行して痛みの緩和のために治療を行う場合があります。
Q.
帯状疱疹後神経や神経障害性疼痛とはどういうものですか
A.
子供の時に多くの人が水痘にかかります。一度この水痘にかかると、 水痘・帯状疱疹ウイルスが体の中に潜んでいます。帯状疱疹とはなんらかの原因で再びこのウイルスが活性化され皮疹と痛みを生ずる病気です。帯状疱疹の皮疹は、多くの場合、抗ウイルス剤を投与することにより治ります。しかし、一部の人特に高齢者の人は、この痛みが焼けるような、また電気が走るような痛みへと変化していきます。これが帯状疱疹後神経痛で、非常に治りにくい痛みを伴う病気です。この帯状疱疹後神経痛を防ぐには、帯状疱疹の痛みの強い時期または皮膚症状が治った後でも痛みがある場合に、できるだけ早くペインクリニックなどで積極的な痛みの治療を行うことです。また、外傷や手術などの後に、元の疾患が治癒するとそのとき生じていた、痛みが治るのが一般的です。しかし元の疾患が治った後にも痛みが引き続いて起こる、反射性交感神経萎縮症・カウザルギーと呼ばれている痛みの疾患は帯状疱疹後神経痛同様、非常に治りにくい痛みの一つです。これらは、痛みを感ずる神経自体が変化を受け、その神経が原因で痛みを伴うため、神経障害性疼痛と呼ばれています。当麻酔科ではこの神経障害性疼痛に対して積極的な治療を行っています。
Q.
ペインクリニック外来を初めて受診する際には紹介状は必要ですか?
A.
はい。初めて受診される際には、原則として近くの医院・病院の紹介状をご持参ください。

専門外来について

[難治性腰下肢痛]

腰痛・腰下肢痛は日本人の10人に1人が症状を自覚していると言われています。
精査をすると、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアによる神経根症、椎間関節症、仙腸関節症など様々な原因があります。
それぞれの原因に合わせて、薬物療法とインターベンショナル治療を行います。

[インターベンショナル治療]

神経ブロックやカテーテル治療など侵襲を伴う治療の総称です。手術と比較して侵襲が小さく、「手術するほどではない椎間板ヘルニアや狭窄症」から「術後に残存する痛みで、これ以上の手術ができない術後性疼痛」まで、幅広く対応しています。
高周波熱凝固療法・パルス高周波法
局所麻酔薬を使用した神経ブロックは薬剤の効果が切れると痛みが再燃する場合があります。高周波熱凝固法やパルス高周波法は、神経を変性または機能を変性させることで長期的なブロック効果が期待できます。
硬膜外腔癒着剥離術
脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアの診断を受けた患者様の中には、「手術するほどではない」と診断される方も多くいます。しかし画像検査と痛みとの間に乖離があり、薬物治療ではなかなか改善しない場合もあります。その中には炎症による癒着が痛みの原因であることがあります。硬膜外腔癒着剥離術は、特殊なカテーテルを挿入し癒着を直接剥がす治療です。これにより、痛みの緩和、また追加治療の際に薬剤が原因部位に到達しやすくなります。
脊髄刺激療法
難治性疼痛に対して、脊髄を直接刺激することで疼痛緩和を図る治療です。硬膜外腔に電極を挿入し、ペースメーカーのような薄型のバッテリーを植え込みます。海外では80%以上の患者様に治療効果があると報告されています。

[顔面痙攣・眼瞼痙攣・痙性斜頸]

A型ボツリヌス毒素を用いた眼瞼痙攣、半側顔顔面痙攣および癌性斜頚の治療。
  • 食中毒の原因菌のひとつであるClostridium Botulinum により産生されるこの毒素には筋肉に力を入れにくくする作用があります。この毒素を用いて、眼輪筋が不随意に収縮する眼瞼痙攣や、顔面神経の被刺激性亢進により一側顔面筋が発作的に不随意に収縮する半側顔顔面痙攣、頭頚部の筋緊張異常により異常頭位を生じる癌性斜頚に対し、一時的に原因筋に麻痺を起こさせて治療を行います。
  • 使用する毒素の量が少量であることと、局所のみに注射するために、食中毒症状は生じません。また、この毒素の効果は3~4ヶ月ですので、時間が経過すれば元に戻るという特性があり、繰り返し注射が必要な場合もあります。

[帯状疱疹痛・帯状疱疹後神経痛の治療]

帯状疱疹時の疼痛管理および帯状疱疹後の疼痛、痛覚過敏、アロディニアの緩和、治療を行います。
また、帯状疱疹には予防するワクチンがあります。

【医局】富山大学学術研究部医学系 麻酔科学講座

〒930-0194 富山県富山市杉谷2630